吉野川フライイン
2002年8月3,4日

主催:スカイフリーク


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始めに

8月の第1土曜日曜日に徳島県の鴨島町で吉野川フライインを開催しました。 会場となった吉野川エリアは四国三郎の吉野川を利用しのびのびとフライトできる事が特徴です。

遠くは群馬県、千葉県からも参加いただきました。不幸なことにフライイン直前に九州で着水事故が発生し、吉野川での着水実験がより現実的になって来たためだったのかも知れません。

今回は安全セミナーとしてビデオなどを見るのでなく、実際にエンジンを背負い川に飛び込みハーネスから離脱できるのか、マリンポーチなど浮力体は有効に作用するのかなど、フライイン参加者が実際に体験することに重点を置きました。


モーターハング

また、モーターハング、パワードハングのメンバーも参加されたのでより幅広い内容のフライインとなりました。大川さんが開発したうつ伏せのフライト姿勢で離陸できる「レベル」は遠州灘でも見ることが出来ましたが、谷口さんの「ドリー(台車)」は初めてのお披露目で大変ユニークで感心させられました。「ドリー」は自動車で牽引し離陸速度まで加速し、切り離しテイクオフするシステムです。本来はフラットランドからのトーイング発進の時の物ですがそれをモータハングに応用しています。迫力がありました。


FLM指導員更新講習会

初日、土曜日の午前中には、「FLM指導者更新講習会」がひらかれ勉強をしました。


ユニット自慢会

午後からは「ユニット自慢会」です。自慢のユニットを並べて皆で品評会をして、「これは軽い」「パワーがありそう」などと話しています。でもカタログ値ではわからないので推力測定して見ました。同じメーカの同じユニットなのにパワーがちがっていたりして面白かったです。中にはフルパワーでまわしてるとプロペラがバラバラになってしまった怖いユニットもありました。


ダックレース

ユニットの推力を利用してのダックレースも面白いですよ。台車に上にユニットを背負い競争します。アヒルのようにお尻を振りながら操縦するところからダックレースと名付けました。


支援フライト

夕方には、災害支援フライトとしてゲーム形式で3人一組でチーム戦をしました。 勝敗は3人の合計得点できめます。最初は空か行方不明の人を捜索する様に、1から10までの番号を空中から捜します。2番目は堤防や道路がどのようになっているか空から調査する事を想定し、地図上にマークされた場所まで飛んで行きそこに何があったか見てきます。3番目は溺れている人に浮き袋を投下する正確さを競いました。

 

親睦会

夜のバベキューでは昼間、参加者が吉野川で泳いでいる時に捕まえた、天然のスッポンを料理したもの、なると鯛の刺身、サザエ、えび、牛肉、阿波おどりまで出て、夜の2時を過ぎても食材と話題はつきませんでした。

皆で半田素麺を食べています。
夜のおかずになった天然スッポン

事故報告

8月4日の日曜日は朝一番にフリーフライトをして、昼前に着水実験に先立って、九州の着水事故の詳細について山口の西村さんが事故の後、九州に出向いて調べた事を報告してくれました。また、同じ日に中部地区で起こった着水事故も報告されました。

事故の原因かもしれない複雑な増設タンクの配管


着水実験

この着水実験は吉野川フライインの行事として、実際にエンジンを背負い川に飛び込みハーネスから離脱できるのか、マリンポーチなど浮力体は有効に作用するのかなど、フライイン参加者が実際に体験することに重点を置いて実施しました。

なぜ、体験に重点を置いたかと言うと山飛びのパラグライダーでのレスキューパラシュートの講習会での経験から、知ってるだけでは実際に出来ない場合が多いからです。

打ち出し式のレスキューパラシュートなどは出ない場合がありました。
浮力体も自動では出ないこともあるのではないか心配でした。

場所の選定

背が立たない場所が良いのではとの意見もありましたが、安全のため、立てば顔が出るくらいの深さにしました。もちろんこの深さなら足をまげていれば飛び込んでも川底にぶつからないか事前に確認もしました。

波や流れがあるといっそう難しくなるので、吉野川の伏流水が湧き水となってプール状になった場所を選びました。

機材

DKのウイスパーミニを五十嵐(山形)さんが提供してくれたので、このユニットを使用しました。ハーネスは国内で一番使われているベストタイプで前にファスナーがあります。

浮力体は水に入ると自動的に膨らむタイプとして、マリンポーチを定行(兵庫)さんがマリンベストを大塚(岐阜)さんが提供してくれました。

また、紐を引っ張ると膨らむタイプの手動式の浮力体は須藤(千葉)さんが提供してくれました。

実験

■ガソリンタンクが空の場合

 ガソリンタンクも空っぽでは、少しだけ浮きます。マフラーやエンジンの中にも空気があり、これらも浮力となっています。しかしすぐに水が浸入し、この浮力も無くなってしまいます。

■ガソリンタンクが満タンの場合

 今度はガソリンタンクが満タンの場合を想定してタンク内に水を入れて実験すると、タンクが空の場合とは違い全く浮きません。呼吸するために必死に泳がないといけないためハーネスを外すのは困難です。

■マリンポーチ

 マリンポーチは膨らむまで約10秒かかり、エンジンを背負った状態では膨らんだマリンポーチにつかまっても浮けないです(沈みます)。 ほとんどの人がハーネスやユニットにマリンポーチを取り付けていますが、これはダメです。ハーネスを外すと浮力体も捨ててしまう事になりますから。

■マリンベスト

 マリンベストは約5秒で膨らみ、首にかけるとなんとか浮いていられます。 マリンベストは人間に取り付けるようになっている点と両手が使えるのが利点です。 実験ではシャツがファスナーに挟まってエンジンを外せなかったのですが、エンジンを外せば人間だけの浮力体となります。

■手動式ライフジャケット

 手動式ライフジャケットの場合はハーネスの外に装着するのか、内側に装着するのかで離脱方法が変わってきます。  内側に装着した場合はハーネスから離脱後に膨らませなくてはいけません。先にライフジャケットを膨らましてしまうとハーネスのファスナーや金具が引っ張られた状態になり、外せなくなります。  外側に装着した場合は取り付けには十分注意しないとライフジャケットのベルトなどがハーネスの外から絡んだ状態になり外せなくなります。

まとめ

  1. この実験の前に考えていた事と、実際に行った結果とでは食違いがあった。ユニットからの離脱においても個人差があり練習が必要。
  2. 顔が水面から出やすくなるように上半身からハーネスを外す。
  3. 水の中ではファスナーにシャツなどが引っかかりやすいので要注意。
  4. 意外にプロペラガードやフレームのパイプ内に空気があり水が入らないようにコーキングしておくと浮力になる。
  5. 浮力体は本来人間1人を浮かすだけの用途で作られており、浮力不足。PPGで使用するには、それぞれ長所短所があり完全な物は無い。現時点では2個(人間用に1個とエンジン用に1個)は取り付ける必要がある。
  6. 浮力体の取り付け場所も注意が必要。ハーネスに取り付けると離脱した時役にたたなくなる。
  7. キャノピーやラインが絡んだ時のためナイフなども用意した方が良い。

 今回の着水実験は条件的に良い状態です。ヘルメットや手袋をしていても結果が違っただろうし冬の着膨れした状態ではどうだったか、冬で水温が低い時はまた別の点も考慮が必要だろうと思います。

 着水時の衝撃で打撲、失しん等で四肢が自由にならないような場合も考えられます。着水した場合、何もしなくても最低呼吸ができ生命確保ができるシステムへと進化を望みます。

 今回の着水実験は、日本で(世界でも?)はじめての試みでもあり、海外のPPGメーリングリストでも話題になっていると聞いています。百聞は一見にしかず、とにかく多くの人が、体験し、実感し、安全を意識してください。

 反響として、以下のようないろいろなご意見、ご感想をいただきました。改めて問題提起となったのではと実感しております。


【反響:1】
ドイツ製のユニットの様にエンジンを切り離せるようにしてはどうか?

エンジンの切り離しできると良いです。(ただし空中で外れないように考慮が必要) またハーネスがワンタッチで外せるような物も良いです。 メーカーの対応が必要かもしれません。 (個人でベルトや金具を加工すると強度などが低下しやすく要注意)

【反響:2】
10分ぐらい使える、小型のボンベがあるのでそれを装着していれば、 落ち着いてハーネスを外すことができるのでは?

とっさの場合は呼吸数が多いので半分ぐらいの時間しか持たないと思います。 着水前に小型ボンベをくわえる余裕があるならハーネスの金具も外せそうです。 マリンベスト、マリンポーチは1万5千〜2万円程度なので小型ボンベより 価格も安く実現しやすいのでは。

【反響:3】
ライフジャケットについてですが、私が使用している小型船舶用のものは、 取扱説明書によりますと、膨張したときの気室の浮力は、14.5kgです。 水中での必要浮力は、一般に陸上体重の1/10となります。 従いまして気室の浮力14.5kgは陸上体重の145kgまでOKです。 2個つける必要は無いと思います。

145kgは体重(人間)の場合で、人間はそれ自体浮きます。 エンジンのように水に浮かないものについては14.5kgが限度と考えます。 通常エンジンは14.5kg以上の重さですから1個では十分な浮力はありません。 (厳密には比重で計算した総和となります。)

【反響:4】
沖縄でも着水実験をしたいので、実験で使用したエンジンを送ってもらいたい。(仲里)

はい、送ります。 実際にクラブ員やスクール生に体験してもらうことで、みんなの意識が変わります。 次の着水実験につなげていってもらえ、大変うれしく思います。

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